放課後の教室。

窓際の夕日が差し込む窓際の席に君は一人涙を流して俯いていた。

何が君をそんなに悲しませているのか・・・?






             
君が悲しむ理由を知りたい。







「好きだったのに・・・。とっても好きだったのに・・・何で・・・。」

手のひらを顔に当てて、涙を流していた君。

俺は忘れ物を取りに教室の扉に手を掛け、小さく聞こえた呟きに扉に掛けた手を下ろした。

聞こえてきた声は、俺が惚れてる女・だった・・・。

何故お前は泣いているんだ?

好きだったって・・・、とっても好きだったのに・・・って、お前誰かと付き合ってたのか?それとも告白して振られたのか?

誰がお前をそんな風にした?

俺は悔しくて拳を握りしめた。

お前を悲しませる奴はクソくらえだ。

俺は大きく息を吸い込むと扉に手を掛けた。

ガラリと扉の開く音がするとお前は急いで涙を拭った。

遅えよ、お前が誰かの為に泣いていたのを俺は見ていたんだ。

アイツは開いた扉の俺へと顔を向けた。

「あ・跡部ぇ・・・。」

「よぉ。」

お前は俺に顔を見られない様俯いた。

俺はアイツの傍へと歩いていく。

「ど・どうしたの?忘れ物?」

「・・・あぁ。お前はここで何やってんだよ?」

「えっ・・・、あっ・・夕日が綺麗だなーとか思って見てた・・・。」

嘘・・・つくなよ。

俺はアイツの隣の席へと腰かけた。

「えっ?何でここ座るの・・・?わ・忘れ物は・・・?」

おもわず見上げて俺を見た。

瞳は赤く頬には涙の痕。

「涙・・・。」

俺は思わずの頬へと手を伸ばした。

触れた頬は、柔らかく泣いた所為で微かに暖かかった。

瞳を大きく見開いたお前。

「誰が・・・誰がお前をこんな風に・・した?」

「えっ・・・。」

「何でお前は泣いていたんだ。」

俺から視線を外し少し思案するお前。

「・・・跡部・・何か勘違いしてない・・・?」

勘違いも何もあるか!!

お前はさっき一人で言っていたじゃないか『好きだったのに・・・。とっても好きだったのに』と・・・。

こうして涙の痕もある・・・。

俺は涙の痕を指でたどった。

「勘違いも何もあるか!!お前はここで泣いていたじゃないか!」

叫ぶように言った俺にお前は再度瞳を大きく見開いた。

「俺のどこが勘違いなんだ・・・?・・・・・・・誰がお前を悲しませた・・・。」

「何で・・・何で跡部がそこまで・・・私を気にする理由があるの・・・?」

「何でって・・・・。」

本当の事を言ってしまうかどうか躊躇ってしまう。

誰かを思って泣いていたお前に、俺の気持ちを言ってお前は、戸惑ってしまうのではないか?

お前は困ってしまうのではないか?

俺は俺の気持ちをお前に伝えていいのか?

下手な言い訳でお前が納得しない事ぐらいは解っている。

だから戸惑う。

言うべきか・・・?言わざるべきか・・・?

「ねぇ・・何で・・・?」

俺は誰だ?俺は跡部景吾だ!!

何をそんなに戸惑う事がある。

俺は俺に自信を持っている。

どう転ぼうが俺の心は動じない。

「お前の事が・・・・。」

「お前の事が好きだからだ。だからお前を悲しませた奴が許せない!!お前の心を盗んだ奴を許せない!!」

「・・・あ・・跡部・・・。」

「だからお前が悲しむ理由を知りたい・・・。」

俺はを抱きしめた。






































で、君が悲しむ本当の理由はただ単に、好きだった漫画が終わる事を友達からメールを貰って知ったからだったとくだらない理由だった事に俺は苦笑いをせざるえなかった。

でもまぁ、俺の気持ちがお前に伝わった事だけ良かったか・・・・。