先日の一件があって以来、跡部とは顔を合わせてない。
本当は避けたく無いけども・・・でも、そうしないとやっぱりこの間の様な事になっちゃうかも知れないし。
泣いちゃうかもしれない。
跡部との関係がこの状態だと、ドンドンと崩れていっちゃうのは解ってるけど。
跡部が私に会いに教室に来てるのも知ってるし、教室に居なければ探してるのも知ってる。
好きだから・・・会いたいとか顔が見たいなと思うけど・・・。
でもそれとは裏腹にやっぱりこの間の一件が私の気持ちに拍車をかけて避ける事しか出来ない。
休み時間には絶対教室には居ない様にしてるし、帰るときも即効。
放課後が長引いちゃった時には、どこかに身を潜めてかなり遅くなってから帰ったりとか・・・。
跡部からの電話はあからさまに着信拒否は出来ないから留守電とか・・・メールも何通か着たけど開いていない・・・。
でもそれは跡部だけじゃなくて、テニス部に係わり合いのある人達すべてにおいて同じ事しちゃってる・・・。
もしかしたら、跡部に何か言われてるかもしれないとか思っちゃって・・・。
そこまで警戒する必要なんて無いとは思うけど・・・。
でも、一度思い込んじゃったら駄目なんだよ・・・私。
皆には悪いと思ってる・・・。
でも、私の気持ちがどうにかならない限りは無理なんだ。
幸いな事にテニス部の正レギュラーとは誰とも同じクラスじゃないのが、せめてもの救いだと思う。
独りよがりでかなり自分勝手な思い込みと行動だと思うよ。
くだらない事してると自覚してる。
だけどさ、思春期時期の乙女の感情は激しいんだよ・・・。
もう、このまま拗れたままでもいいかもしれない。
だって跡部には、もう彼女が居るんでしょう?
私の気持ちの整理が全然つかない内にいきなり彼女出現!?なんてさ・・・。
他の皆との仲も拗れていくかもしれないけど。
学校は今更替える何て事、親が許してくれる訳ないから仕方ないけど・・・私、高等部ではもう・・・部活もやらない。
そこまで徹底的に避ける何て馬鹿って言われるとは思う。
でもそこまでしないと駄目なんだよ。
本当駄目なんだよ・・・。
でも流石にさんざん皆を避けていた結果、昨日宍戸が家に来た。
幼馴染な為、家は斜め向かいに住んでるし家にも勝手に上がってくる程気軽な付き合い。
ベットに寄りかかり天井を見上げてボっーとしてた。
何も考えたく無かったんだ。
考えてるとドンドンと悪い方へといっちゃって、私の気持ちは沈んでいくばかりだから。
だからいきなり私の部屋のドアが、バンと音を立てて開いたときは心底驚いた。
ずり落ちた体制を立て直して宍戸を見上げた。
『おい!!!』
『な・な・何!?』
『お前何考えてるんだよ!』
『えっ・・・?』
『お前、テニス部の奴等皆避けてるだろう!!』
『・・・・・。』
『メールしても全然返事こねぇー、電話しても繋がらないですぐ留守電になる。仕舞いには教室に行っても居ないってな!!』
『・・・・・。』
宍戸は頭をガシガシ掻きながら。
『何考えてるんだよ?・・・お前』
『・・・・・・。』
『何かあったのかよ?』
『・・・言えない。』
『ハァ・・・、お前は昔っからそうだよな・・・。』
肩をがっくりと落とした宍戸は、床に胡坐をかいて私の目の前に座った。
『何があったのか知らなねぇーけどよ?お前が考えてる事なんてどうせロクデモねぇー事なんだからよ。』
『・・ロクデモないって何!』
『お前は昔から悪い方に考えて、ドンドンと溝に嵌っていくんだよな?で、それに関する事すべてにおいて関わりを持とうとしないんだよ。
・・・誰にも何も言わねぇーしタチ悪いよな・・・まったくよ。』
『・・・・・・・。』
『それが今回はテニス部に関する事だろう?』
長い付き合いなだけあって、宍戸は解ってた。
『・・・・・・。』
『・・・跡部か?』
頷く事は出来なかった。
今年のクリスマスは運が良い事に休日。
だから、学校で顔を合わせる事も無いから、無理やり誰かに捕まって連れて行かれる事も無い。
今日は大人しく家に居ようかとも思ったけども、何だか家に居ても万が一の事を考えて出かける事にした。
周りはカップルだらけで、一人で出歩いてる私は惨めっぽいけど。
友達は友達で殆ど彼氏居るし・・・。
居ない子は居ない子でパーティーするって言ってた。
無論誘われたけども、気分的に行く気にはなれなかったから。
ただ、もう一度だけ・・・メールだけど跡部に不参加の意思を示したメールを送った。
メールを送った携帯を閉じて溜息。
俯いてた視線を前に向ければその先に居た人物と目が合った。
「長太郎・・・。」
「あれ?先輩?」
まさか、こんな所で知ってる人と会うなんて。
「先輩どうしたんですかこんな所で?跡部部長の家のパーティーは確かにまだですけど。」
跡部の家のパーティーには正レギュラー全員が招待されてはいる。
無論、長太郎も。
私が避けてるのは主に3年テニス部の元正レギュラー達だから、比較的2年生の長太郎と会っても気まずさはさほど無い。
「・・・あー、ちょっとね。所で、長太郎は何してるの?」
「あー実は、パーティーの時間って、18時からじゃないですか、それまで二人で過ごそうかって・・・。」
「二人で・・・?誰かと居るの?」
「ハイ。今ちょっと外してますけど。」
「まさか・・こんな日に宍戸と何て・・・。」
「違いますよ!あの、ですね・・・。」
「あっ・・・まさか長太郎にも春が訪れちゃったとか?」
「・・・はい。」
頬を赤らめて微笑んだ長太郎。
「そっか・・・長太郎も今、幸せな時期なんだね。」
私の状況とは裏腹に、本当、私の周りは幸せな奴等が多い。
恋人か・・・いいな皆幸せで。
「あっ・・・。」
長太郎がすっごく嬉しそうな笑顔で私の後方を見てる。
きっと彼女が戻って来たんだろう。
どんな子なんだろう?
長太郎が見つめている先を振り返って、私も見て・・・みた。
「えっ・・・。」
その先に居たのは・・・・。
「あっ・・・。」
気づいたその子も一瞬気まずそうな表情をした。
「あれ?もしかして2人とも知り合いですか?」
「えっ、あっ、まぁ・・・。」
跡部の彼女だって言った子だよね?
二股・・・・?
気まずそうな顔をしながら長太郎の横に並んだその子。
「先輩、紹介しますね。学校は違うんですけど俺と同い年で喜田輪 麻奈美って言います。」
「改めまして、喜田輪 麻奈美です。・・・あの、先日は、ごめんなさい。」
行き先も無いまま、取りあえず自分が乗る路線の最終地点までの切符を買って電車に乗り込んだ。
『この間は本当にすみませんでした!!何も考えないであんな事言っちゃって。景ちゃんにすっごく怒られました・・・。』
『景ちゃんとは、従兄妹で悪ふざけ半分であんな事言って。』
ハハハ・・・・冗談だったの・・・・。
『あの時は、長太郎のクリスマスプレゼントを買いに行くのに付き合ってもらってて、』
すでに長太郎と付き合ってたんだ・・・。
『いつもだったらあんな事言っても景ちゃん丁度いい虫除けになるって言ってたから・・・。』
確かに跡部はモテルから丁度いい虫除けにはなるよね・・・。
跡部の従兄妹だけあって、すっごく可愛いし。
『だから毎度の調子で言ってたら、何か怪しい雰囲気になっちゃって・・・。』
『走っていっちゃったさんを景ちゃんが追っかけていった時に、拙い事言っちゃった事に気がついて・・・。』
でも・・・別に私が跡部を好きなだけであって、跡部は私の事を何とも思ってない・・・。
ただ、きっと一応は部活仲間以上の友達と認めてくれてるから、そういった部分で誤解して欲しくなかっただけだから・・・。
パーティーに誘われた時に彼女居ないって言ったから、その誤解だけを解きたかったんだね・・・きっと。
『景ちゃんすっごく怒ったけど、許してくれて・・・でも、最近なんか元気が無くて・・・・。』
『もしかして、私の所為で仲が拗れたままなのかって・・・心配で』
それなのに私が耳をかそうともせずに避けてばっかりだから・・・・。
さすがに仲の良い友達に避けられれば、元気なくなるよね。
私だったらそうだもん・・・。
宍戸の言う通り私ってば『お前は昔から悪い方に考えて、ドンドンと溝に嵌っていくんだよな?で、それに関する事すべてにおいて関わりを持とうとしないんだよ。
・・・誰にも何も言わねぇーしタチ悪いよな・・・まったくよ。』
私って人間は兎に角思い込みが激しい部分があるから、一度溝に嵌るとドンドンと深みに嵌っていっちゃう。
そして、自分が楽な方へ逃げていく為に、それに関する事すべてを排除しちゃうんだ。
本当にごめん、跡部。
とことん跡部を避けまくってたから、跡部はかなりカンカンで怒ってると思う。
もしかしたら、本当に修正不可能な仲になっているかもしれない。
もう、このまま拗れたままでもいいかもしれないって思ってたけど、でも、やっぱりこのまま跡部との接点が持てなくなるのは嫌だと思う。
だってやっぱり、どうしたって跡部の事が好きなんだもん。
どうやって跡部と顔を合わせればいいのか?
どうやって跡部に謝ろうか?
どうすればいい?
事の真相を知った今、パーティーに参加して謝ればいいかもしれないけど。
でも、自分のしでかした行動を考えると、そうそうに参加なんて出来ないし。
勇気が無いんだ・・・私。
度胸が無いんだ・・・私。
無限ループの様にずっと同じ事を繰り返し考えてた。
時間の感覚なんて無くて、いつの間にやら終点の駅に着いてた。
電車で1時間以上も揺られていると案外自然の多い土地に出るもんで。
あまり建物など見受けられない。
民家などよりも断然、自然の方が多い。
自分をリフレッシュするのに丁度いい場所かもしれない。
行く当ても無く、取りあえずは道を進んでみる事にした。
空気は美味しいし、季節は冬だから寒いけどその寒さの澄み渡った空気が私の心を落ち着かせてくれるみたいだ。
辺りはもう薄っすら夕闇で、流石に山が近い場所だと暗くなるのも早い。
自然の多い場所とはいっても点々と外灯があるので、丸っきり真っ暗では無い。
フラフラしてた私の視界にどれくらいの距離かは定かでは無いけれど、ここら辺の中で一番光が強い場所が目に入った。
何だろう?と思って興味が湧いたので、そこまで近づいてみる事に。
「わぁー綺麗。」
こんな場所にもイルミネーションを施してある所があるなんて。
そこは、どうやら教会らしくて。
キリスト信者でも無いけれど、一般公開しているらしくて
中に入って見る事に。
外から見る分には、結構古びた感があったけれども中の内装は綺麗で。
さらにロウソクに照らされた淡い光がより一層中の内装の絵などを幻想的に映し出してくれる。
来客している人数は然程多くないみたいで。
老夫婦だったり、カップルだったり友達だったり・・・と、点々と席に座っている。
私はその人達とは離れた場所に座った。
入り口に近い隅の方へ。
席に座り、手を組んで目を閉じた。
神様に懺悔する為に・・・。
跡部に謝って許してくれる様に・・・祈った。
「神様、私は自分の勝手な思い込みで好きな人の話をちゃんと聞かず怒らせました・・・困らせました。ちゃんと話を聞かず避ける事しか出来なくて・・・・。
だからよけに関係は悪化するばかりで・・・、謝っても許してくれないかもしれません。・・・関係も修復不可能かもしれません。
・・・でも、やっぱりこのままの状態は嫌です。両思いになりたいとかそんな贅沢は言いません・・・だから、だから謝ったら元の関係に戻れるようにして下さい。
・・・・お願いし「それは、無理だな。」・・えっ!?」
閉じていた目を開け、声の聞こえた方へと顔を向ければそこには。
「あ・跡部・・・。」
私の席1つ分を空けて、片肘を付いて跡部はこちらを見ていた。
「な・なんでここに・・・。」
だって、今は・・17時過ぎ・・・。
今から帰ったってパーティーには、間に合わないよ?
それよりも何でここが解ったの。
「フン、跡部財閥を舐めるなよな・・・お前の携帯にはGPS付いてんだろう。パーティーに参加しないってメールを送ってきやがったから直接自宅に行って見れば、
すでに居なねぇしな。丁度タイミングよく携帯に麻奈美からお前と駅で会ったって、『そのまま駅の方に歩いて行ったみたいだけど・・・パーティー参加するんだよね?』
って、調べさせたら案の定お前はこんな所に来るしな。」
「跡部・・・パーティーは?」
「そんなもん、時間になったら勝手に始めんだろうよ。それよりも今までよくも人の事避けてくれたよな?」
「・・・ごめん、なさい。」
「人の話をちゃんと聞こうともしねぇし、更には避けるしな。」
「本当にごめんなさい。」
俯いた私は謝る事しか出来ない。
「お前は、一度こうだ!と思うと思い込みが激しいんだよ。」
「・・ごめ、ん・・・本当にごめん・・・。」
「お前、俺の事好きだったら避けずに真っ向から聞けよ。」
「うん・・・えっ、いや、え・えっ!?」
何で私が跡部の事好きなの知ってるの??
「お前、今ここで声に出して懺悔してただろう。まさか違う相手の事で懺悔してましたって事はねぇーよな?だったら、この間も別に俺に彼女が居ようが居ないだろうが
逃げる必要もその後の行動で避ける必要もねぇーよな?」
そうだ・・・思うだけじゃ神様は聞いてくれない様な気がして・・・小さい声だけど言葉にしてた。
こんな所にまで、来てるくれたって事は許してくれるのかな?
あぁ・・・でもさっき私が懺悔してる時に跡部は「それは、無理だな。」って言ってた。
許してくれないのなら何でこんな所に来たの?
私に対する怒りが余程大きかったから?
だから、私に文句言わないと気が済まないから・・・?
「本当に・・・ごめんね、跡部。私の、勝手な・・思い込みで、嫌な・・思い・・・させた。」
許してくれないかもって思うと泣きたくないのに、涙が出てくる。
「やっぱり・・・自分勝手な、私・・とは、元の・・関係には・・・・・戻って、くれないの?」
聞くのは怖い。
でも、問わずにはいられなかった。
下手したら、今まで以上に深みに嵌るかもしれない。
でも、ここで悪化したままの状態を断ち切らないと、どんな結果になろうとも先には進めないんだ。
「元の関係に戻るのは、無理だ。」
決定的な一言が私の胸に突き刺さる。
やっぱり・・・跡部は私を許してはくれないんだ。
「ごめんね?散々避けてたのは私なのに、調子のいい事言ってるよね・・・。」
結果を聞いてしまった私は、跡部の傍に居る権利なんて無い。
このまま、跡部との接点も無くなってしまうんだ。
跡部に対して深く頭を下げて、教会から出ようとした。
「オィ、どこ行くんだよ。」
跡部に腕を掴まれて引き寄せられた。
「どこって・・・話は、もう、終わったでしょう?・・・これ以上は、傍に居られない・・・よ。」
「まだ話は終わっちゃいねぇーよ。ハァ・・・本当に思い込みの激しいやつだな・・・お前は。」
「だって、跡部・・・元の、元の関係に戻るの・・・無理って・・・言った。」
「あぁ?当たり前だろう元の関係に戻れる訳ねぇーだろう。」
「だったら・・・。」
「話は、最後までちゃんと聞けよ!」
そう言った跡部は私を正面から抱きしめた。
「お前の気持ち知って、何で元の関係に戻るんだよ。」
「・・・・・・。」
「何で俺の気持ちに気づかねぇーんだよ。」
「えっ?」
跡部の気持ち・・・?
「何で俺が、直々にお前に招待状を持って行ったと思ってるんだ?何でワザワザ誤解してるお前に対して、話をしようとお前の教室何度も尋ねたり
何度も携帯に電話やメールしたと思ってるんだよ・・・。何とも想っていない相手に俺がそこまでする訳ねぇーだろう。」
「だって・・・だって、それは部活仲間で、友達だから・・・。」
「な訳ねぇーだろう。友達ぐらいで女に対してそこまでする訳ねぇーだろう。」
「・・・いや、お前の事が好きだから・・・・・・
だから、お前に誤解して欲しくなかったんだよ。」
コメント:本当ならばクリスマスUPを狙っていたのですが、諸事情によりUP(詳細は本日の日記参照)
とう言う訳で次のUPは1万ヒット夢をアップさせれたらいいなーと思う今日この頃(UP。07/12/16)