やっぱり思ったとおりの事態が起きました。
緊急警報発動・レッドランプ点灯です。
一体全体どうしたらいいのでしょうか?
綺麗な子から可愛い子まで、選り取り見取り。
選びたい放題です!!
が、しか〜し、私は至って普通の女の子です。
そう言った趣味や趣向は無いので非常に喜ばしく無い事態です。
更に言うなれば、顔が・・・顔がすさまじいです。
般若の様です。
怖いです・・・。
お母さーーーーん、はまたまた大ピンチです。
どうしたらいいですかーーーーーーーーー?
今日は無事には帰宅出来そうにもありません。
本当に夜空のお星様になってしまいます。
円陣組んで囲まれてます。
正に八方塞です。
逃げ道などございません。

ひと気の無い体育館倉庫の裏・・・。
そんな所には連行されました。
ヒロインのピンチにヒーローは付き物です。
「何しとんのや?」
急に物陰から颯爽と現れる忍足君。
「別に何も・・・ねぇ?」
「うん、そうよ。私達別に虐めてるとかそう言うんじゃないよね?」
「ねーー。仲良く話ししてただけだよね?」
とまぁ、白々しく口から口へと嘘を付くお嬢様方。
「嘘つけや!!全部聞いとったで!!」
最初からすべて聞いていたらしい忍足君。
ヒロインが正に手を上げられ、打たれそうになったその時に登場ですよ。
そして、私の傍に来て左頬に片手を添える忍足君。
「大丈夫か、。怖かったやろ・・・?」
忍足君の右手に手を沿え首を左右に振る私。
「ううん。忍足君が来てくれるって思ってたから・・・怖くなかったよ?」
周りの女子達は、いつの間にか2人を残して立ち去ってました。
見詰め合う2人。
「ごめんな・・・。」
眉間に皺を寄せ、本当にすまなさそうに謝る忍足君。
そんな忍足君を私は下から覗き込み。
「忍足君は、何も悪くないよ?」
「これからは、ずっと傍に居てを守るから・・・。」
「忍足君・・・。」
次第に縮まっていく距離。
そして、重なり合う唇。
ぎゃーーーー鼻血でそうです。
どうしましょう。
「ちょっと聞いてるの!!さん!!」
ハッ!!イケマセン。
妄想の世界へとダイブしていました。
夢見心地の妄想をしている場合では、ございませんでした。
私は今、非常に由々しき事態な訳ですよ。
あれですよね、こんな時漫画ではヒロインのピンチの時に、助ける為にヒーローが登場する訳ですよ。
この場合、ヒロインはもちろん私で、ヒーローは言わずものがな忍足君な訳ですよ。
でも、現実世界で、トントン拍子に事が運ぶ訳でも無く。
奇跡は起きません。
ピンチです、ちゃん大ピーーーンチです。
言葉の暴力だけでは気が済まず、きっと叩かれたりするんでしょうね・・・。
ただでさえ見られない顔が、余計に見られない顔になってしまうんでしょうね。
あ゛ー、本当にどうすればいいんでしょうね?
誰か正解な答えを下さい。
「ねぇ、ちょっとこの人さー、全然私達の話聞いてないみたいなんだけど・・・!」
「ムカツクーーー、人の話ちゃんと聞けっつうの!!」
聞いたって何したって絶対何かしらイチャモンつけてくる癖に・・・。
どっちでもいいじゃん。
何か?話をちゃんと聞いてやったら、潔く開放してくれるってーのか!?
あ゛ぁ゛、どうなんだっての!!
何て・・・心の中で切れてみても意味無いってーの。
ハァ、思いっきり溜息付きたいです。
誰か、助けてく下さーーーーーーーーい。
「おい。」
そこへ男子の声が・・・・。
あれですか?こんな私にも、やっぱりヒーロー登場ですか?
ですが、私の待ち望んだヒーローではありませんでした。
忍足君と同様のセクスィーボイス・・・。
忍足君とは別物ですが、芳しい香り。
忍足君と張る・・・・、イヤ、それ以上に見目麗しき顔。
ここまで言えば誰だか分かりますよね?
氷帝No1、帝王と言ったらこの方しか居りません・・・。
あの跡部景吾君です。
あぁ、こんな近くで見たのは、初めてです。
「お前らなにやってんだよ。」
「いえ・あの・べ・別に・・・。」
「散れ!!」
顎で指示しましたよ・・・。
さすが帝王様です。
いやぁ〜しかし、やっぱり氷帝No1なだけあって近くで見るとその美顔が迫力満点です。
こんなに至近距離で見たのは初めてです。
泣きボクロがよく見えます。
今ではこんなに俺様な人ですが、あれですかね?小さい頃は泣き虫だったんですかね・・・。
いや・・・そんな事はありえませんね。
「おい。」
きっと小さい頃から俺様だったんでしょうね。
噂に聞けばお家は豪邸のお金持ちらしいですから。
さぞかしメイドさんやら執事さんやらいっぱい居るんでしょうね。
「おい・・・。」
あれですかね・・・やっぱりメイドさんの服はミニですかね?
若い子わんさか居るんですかね?
きっと美人のお姉様方がたくさんいらっしゃるでしょうね。
ヨダレものですね。
「おい!!(怒)」
「はい!!」
あぁ、イケマセンまたちょっと妄想の世界へとダイブしてました。
何度か呼ばれていたみたいです・・・。
跡部君の左額側に怒りマークが微妙に浮き出ている様です。
美顔の人が怒ると迫力満点です。
「・・・お前忍足と一緒のクラスの奴だよな。」
おぉ、あの跡部君が私の事を微妙に知ってますよ。
さすがわ天才です。
「・・はい、忍足君と一緒のクラスのです。」
おっと跡部君が微妙な顔をしました。
「・・・お前がか・・・。」
ハイ、私がです。
と言うか、何か跡部君が私の事を知っていた様子です。
名前と顔は知っていたけれど、一致していなかった感じですね。
私は跡部君に名前が知れ渡る程、有名な訳でもないですし・・・。
ハッ!もしかして私が知らない所で悪い噂でも・・・流れているんでしょうか?
実は仲のいい友達しか知らない私の妄想癖とか・・・。
あぁ・・・どうしましょう。
そんなんだったら、恥ずかしくて明日から学校に行けない。
イヤ、デモ、後ろ指指された記憶は無いんですが・・・。
私を見ながらヒソヒソ話しをされた記憶も無いです。
と言うか跡部君はどこで私を知ったんでしょうか?
深く考えても答えは出てきませんから・・・、まっいっか。
おっといけない忘れる所でした。
跡部君にお礼を言わなければ。
人間礼儀が大切です。
「あの・・・。」
「何だ。」
「助けてくれてありがとうございます。」
一応、氷帝の帝王ですからご丁寧に頭まで45度下げちゃいまいました。
「フン、生徒会長だしな。」
鼻であしらわれちゃいました。
「それよりもお前何で、囲まれてたんだよ?」
跡部君は以外に噂には疎いのですね・・・。
光の速さの如く駆け巡ったって言うのに・・・。
「それはですね・・・、私が忍足君に抱きついたと言う噂が出回りまして・・・。」
実際は違うんですよ?
逆です逆。
忍足君が私を抱きしめたんですけども、忍足君ファンの女子達は自分に都合のいい様にしか物事を見ないんでしょうね。
イヤ、忍足君ファンに限った事ではないでしょうけど・・・。
人間自分のいい様に解釈したいですから・・・。
「・・・で?」
「で?っとは・・・?」
「実際はどうだって聞いてんだよ。」
で?だけでは解りませんって・・・(汗)。
私は噂に聞く樺地君の様に跡部君とはツーカーな仲ではありませんって・・・。
「実際は・・・しいて言うなれば逆ですか?」
「オィ何で質問を疑問で返すんだよ。」
「いや、その時は実感してたんですけども・・・、時間が立つにつれなんかあれは夢だったんでは無いかと思いまして・・・。ですが、ああやってお嬢様方にお呼び出しを食らったので事実だったんでしょうが・・・。ハァ・・・・。」
「何溜息ついてんだよ。」
「イェ・・・こうして跡部君には今助けて頂いた訳ですが、これがこれからも続くんだろうなと思ったら憂鬱で・・・。私は日々平穏無事に過ごしてきた日常と別れを告げ、波乱万丈な日々をこれから過ごさなくてはいけないと思うといつか星に召されてしまうんだろうなって・・・。お嬢様方の嫉妬は怖いですから・・・。忍足君とお近づきになれたのは大変喜ばしい事態なのですが・・・、私の平穏無事を思ってくれるのであれば、カラカウのも程ほどにして頂けると・・・。」
「お前は忍足と仲がいいんじゃねぇーのか?」
「イェイェ、どう言う訳か昨日から急に忍足君が接近してきたと言うか・・・何と言うか・・・。今まで一緒のクラスでしたけども、必要最低限な事以外話した事ないですし。ハァ、一緒のクラスだと言うのに必要最低限な事以外話した事が無いって言うのも悲しいですね・・・。折角一緒のクラスになれたと言うのに・・・。」
「・・・お前は忍足が好きなのか?」
「ハイ・・・・!!。」
「イェ・あの・・・好きと言うか憧れていると言うか・・・。」
シドロモドロです。
ついついペラッと口を滑らしちゃいましたよ。
「好きなんだな。」
「・・・・。」
「こう言う事態になったのも忍足のせいだ。忍足に責任を取ってもらえ。」
「責任を取ってもらえって・・・、あれですか?忍足君が私のお婿さんにでもなるんですか?」
そしたら素敵な結婚生活が待ってますよ。
きっと忍足君の事だから家の事も色々と手伝ってくれたりしたりして・・・。
甘い結婚生活が待ってるんでしょうね。
「・・・オィ。」
そして夜はムフフ・・・な夫婦の営みが・・・。
忍足君は激しそ「オイ!!」
「ハイ!!」
「お前は人の話をまともに聞けないのか?」
「イイエ、すいません。」
「誰もそこまで責任を取ってもらえとは言ってねぇーだろう。」
「・・・はい。」
「お前・・・オカシイ奴だとよく言われないか・・・?」
オォマイゴッート!!
忍足君に変と言われ、続きに跡部君にまでオカシイと言われてしまいました。
「一応、今まで15年生きてきた中で、そんな事は言われた事は無かった筈ですが・・・。」
「・・・まぁいい。」
・・・いいのですか?
まぁ、それ以上に突っ込まれても駄目なんですが。
「忍足に言っておいてやるよ。」
「えっ・・・?」
まさか私が忍足君を好きだって事を本人に言うのですか?
駄目です!!そんな事は神様が許しても私が許しません!!
「駄目ーーー駄目です。」
「・・・何でだよ。こうやって呼び出されたのは、忍足のせいだろ。」
そうですね。
「あぁ、その事ですか。」
「・・・安心しろ。誰が好き好んで恋の橋渡しをするか。」
「・・・ですよね。」
跡部君はそこまではしませんよね。
そんなんこんなんでお昼休み終了のチャイムが鳴ってしまいました。
あぁ、急いで戻らねば授業に遅れてしまいます。
私はもう一度跡部君に頭を下げてお礼を言うと、私の中での全速力で教室に戻りました。
「面白い奴・・・しばらくは退屈しないで過ごせそうだな。」
と跡部君がポソリと呟いた言葉も聞こえもせずに、授業の事だけしか頭に無かった私なのでありました。