あー私は今日も一日無事に過ごす事が出来るのでしょうか?
昨日は何とかなりましたが、早々事が上手くいくとは限らないのが人生です。
私は幸運の女神様なんて付いてませんから……。
何度も不運から逃れられるなんて旨い具合に何ていきません。
何なんですかね一体……。
あれですか?私にはささやかな幸せさえ噛み締めちゃ駄目って事ですか?
忍足君と喋れてラッキーとか…。
忍足君にちゃんって呼ばれてグフフとか…。
忍足君に抱きしめられて幸せとか…。
人生一生の内一度有るか無いかの幸運がキタ━(゚∀゚)━━━━ ッ!! って!!
些細な幸せさえ、私には与えて貰えないって事ですか?
いいじゃないですか!!ちょっとぐらい…。
ごく普通の家庭に生まれ、平凡凡に生活して。
頭も普通ー、身体能力も普通ー、顔も普通ーの私がちょっとぐらい幸せ望んでもバチは当たらないと思いますけど!!
これから先良いことなんてあるかどうかも分からないってーのに!

ここ最近2・3日の間に私の周囲の環境が変わった。
ごく平凡に生き、平凡に生活してる私は当たり前だけど取り立て目立つ子で無く…割と大人しい分類に入る人間な訳で。
学校のアイドルと同じクラスになったとしても、一緒の空気を吸うことが出来るだけで幸せハァハァ…みたいな子で。
勿論、クラス行事やら係り等の事で事務的な会話を交わす事はあっても、『ちゃん』と気軽に呼んでもらえる様な子では無い。
それなのに何故だか……そう何故だか!!忍足君との急接近
からかわれてるのか、ハタマタ何か忍足君に対して気に障る様な事をしてしまった為なのか………。
マサカ忍足君はエスパーな訳では無いとは思うので、私が日々脳内で忍足君とランデェブーな妄想を広げている事を知っているとは到底思えないし…。
第一私以外誰も知らない。
友達は私が何かの妄想をしているのは知ってはいるけれど、何の妄想をしてるかまでは知らないし。
その前に笑い方が不気味でちょっと引かれる……。
だからなんで急に忍足君が私に対して馴れ馴れしく…いや、フレンドリーな対応をしてくるようになったのかが解りません(汗。
それは嬉しい出来事ではあったけども…不幸の始まりですよ!
忍足君が急に親しくしてくるから忍足君ファンに目を付けられるっという危険極まりない状態に落ちいちゃったんですよね……。
十代の思春期真っ盛りの夢見る乙女達は怖いものがありますよ。
しかも多勢に無勢で人数が多いと気もデカクなるから怖いもの無しですよ!
昨日、呼び出されて危うくただでさえ見られない顔が余計に酷くなる所でしたよ。
でもまぁ、偶々ですがあの氷帝の帝王事跡部君に助けていただきましたが………かなり…いやちょっと忍足君じゃなかった事にがっかりしましたが。
助けていただいただけマシですね。
昨日はあれですみましたが、いったい今日はどうやるなら。
明日は明日の風が吹く………私には明日も風が吹いてくれるんでしょうかね?
取りあえず第一段階として下駄箱には画鋲入り上履きや、お呼び出しがかかるお手紙なのが入っていなかったのは幸いでした……。
てっきり入ってるかと思いましたが。
このまま何事も無く無事に一日が過ぎていくんでしょうか………。
と、そうは問屋が卸してくれませんでした。
これって下手したら大怪我よ?
だって私階段昇ってる途中だったんだよ?
しかも、もうあと1・2段で着く所だったんですよ?
なのになんで宙に浮いてるんでしょうか?
原因は、忍足君にあるのは解るんだけど…。
「ギャ−−−!!」
可愛らしい悲鳴なんて人間いざとなると出ませんね。
あれですね…可愛らしく『キャッ』とか『キャー』何て余裕のある時じゃないと出ませんって。
見事に奇声ですよ。
可愛いも何もあったもんじゃない!
あぁ、私このまま下の階の踊り場に無様に激突ですかね…。
痛いだろうなー、下手したら骨折とか…。
景色がスローモーションで過ぎていきます。
ドン!!
………………。
衝撃は確かにありました。
でも、それは床に…硬い物にブツカッタ感触では無くて…寧ろ暖かな温もりがある…そう人肌ぐらいの………。
「ええっ!!」
これって人肌じゃん!!
誰?……ってこの…この香りは!!
「お・忍足君。」
瞑っていた目を開けて見上げてみれば、そこに居たのは忍足君で。
心配そうな顔で私を見詰めてた。
「ちゃん…大丈夫か?」
ギョェ〜、私の愛しのお、忍足君。
これは夢?夢ですか?
実は誰も受け止めてくれてなくて、私は見事に床に激突して…そしてそれは気絶してる私に見せてる夢ですか?
何て素晴らしい夢なんでしょう!!
私もとうとう夢にまで、自分の妄想劇場が繰り広げられるほどの進化を成し遂げたのね!!
気絶しながらも尚、自分の欲望のまま自分の趣向の方へ持っていけるなんて…なんて凄いの私。
しかも憧れのお姫様抱っこ。
これが私が見せてる夢ならば…何をしてもいいのよね!?
「侑士…。」
キャッ、これが夢ならば私がこれくらいの事を言ってもなんら問題は無い筈。
付き合わない限り忍足君の下の名前なんて本人に向けて言う事なんてないから…夢だったのよねコレ言うの。
そしたらここで忍足君は『…。』って呼んでくれる筈………なんだけど?
アレ?何で忍足君そんなに吃驚した表情で耳まで赤くしてるの?
これは私が見せてる夢だよ?
「アカン!!どっか強く打ったんやな?ちゃん大丈夫か?大丈夫な訳ないよな…ほ、保健室。」
突然叫ぶと凄い勢いで走り出した忍足君。
これは夢…ですよね?
でも、凄い勢いで走っている忍足君の振動が私にまでリアルに伝わってくるんですが…。
リアル過ぎですねこの夢………。
『ギャー』とか
『嫌ぁー』とか
耳を切り裂く様な女子の悲鳴もリアル的で…私の夢なんだから、こんな付属脇役までは要らないですがね…?
何なんでしょう?
ちなみに夢ならこんな事しても…。
「あ、あ…。」
あっ忍足君止まった。
お姫様抱っこの状態で忍足君の首に腕を回してみました。
何かプルプルと忍足君は震えてる模様。
顔から全身にかけて何やら肌の色が赤へと…。
「ギャッ!」
ドンと床にお尻が激突ですよ。
「痛っ〜い。」
「す、すまん。」
何やら夢にしては直にキマシタヨこの痛み。
おかしいな…って考えている間に忍足君が腕を引き上げて立たせてくれました。
「大丈夫か?」
「…うん。」
「い、急いで保健室行こう?なっ?」
「えっ?なんで?」
「なんでって…ちゃん頭打ったやろう?」
「えっ頭なんて打ってないよ?しいて言えば今お尻は打ちましたけど。」
「やっ、だって…。」
何で忍足君はそんなに慌ててるの?
凡人な私ではございますが、身体だけは丈夫なんですよ。
それに…。
「忍足君、これは夢でしょう?夢なんだから怪我したって大丈夫だよ。」
そうそう夢なんだからさ。
「やっぱ頭打ったんやな!?」
「何を言ってるの?」
「これは、夢なんかやない。」
「ハァ?」
これは夢やんかやない。
これは夢やんかやない…夢やんかやない……夢じゃない………?
頬をかなりの勢いで抓ってみると「痛っ。」かなり痛かった。
「えぇ!!」
イーヤー、私さっき何言った!?何した!?
夢かとばっかりして大胆不敵な事を……。
あ、穴は?穴に入って隠れたい。
………ここは何とか切り抜けなければ。
「あぁ…立ちくらみが。」
ワザとらしく壁に寄り掛かってみたりして。
「ちゃん!!」
そんな私を支える様に忍足君が背に手を添えてくれた。
なんて優しいのかしら…忍足君。
「大丈夫……、私、昨日から調子が悪くて…今日はちょっと熱っぽくて。」
「そらアカン!やっぱり保健室行かなぁ。」
「薬飲んでるから大丈夫…それにそろそろ早く教室行かないと授業が…。」
「イカン!そんな調子悪いのに授業でるなんて!!薬飲んでる言うたって調子悪くしてたやんか!」
『ちょっ、ごめんな』そう言うと再び私をお姫様抱っこする忍足君。
今こうやって夢じゃないと知らされて、心臓バクバクもんですよ。
出てもいない熱が本当にでそうです。
でも…冷や汗ダラダラですよ。
だってコレって夢じゃなかったって事は……私はマタマタお嬢様方のお怒りを買ってしまった事に…。
買いたくもないですが…。
朝一初っ端から私は何をやらかしちゃってるんでしょうか?
忍足君とこうして関われる事は、大変嬉しい事ですが。
この後に待ち受けているであろう地獄の様な報復を考えると…この世から消えたい気分になります。
お母さん…今度こそは今日、自分の足で我が家の地を踏むのは難しいかもしれません。
08/03/02.up