辛い時はいつも傍にいてくれたね。
最初は全然気がつかなかったよ。
ただタイミングがいいだけかと思ってたし……そんな事貴方は悟らせないようにしてし。
私の事いつも気にかけてくれてた…。
私の事いつも守ってくれてた…。
それはただ単にテニス部に引き込んだ事に対してのちょっとした罪悪感。
それはただ単にちゃんとマネージャーの仕事をしている私に対しての敬意。
ってそう思ってた。
貴方と関わり合いを持つ度、本当の貴方を知る度に胸が熱くて……胸が痛くて。
それは心地良くもあったけど、苦しくもあった。
願えば叶う奇跡
怪我した肩甲骨は結局大事に至らず、ちょっと酷い打撲程度で済んだ。
跡部君も一緒に付き添ってくれた訳だけども、診断を聞いてホッとしてた。
まだ右肩甲骨は痛い…。
家に帰って確認して見ればボールの形をそのまんま型取った濃い紫の痣になってた。
きっと仕事に集中しすぎて周囲の状況を確認していなかった私が悪かったんだって。
不注意しない様に気おつけないとって………思ってた。
初日は結局中途半端なままで…テニス部の部員にも迷惑かけちゃったし。
精一杯頑張ってやらなきゃって。
でも、私の不注意だけが原因じゃないって流石に部活3日目ともなると気づいちゃったんだよね。
朝練は何事も無いんだよね朝練は……。
放課後よりも時間無いし、流石に何度も攻撃したらマズイって思ってるのかどうかは解らないけど。
テニス部ファンのお嬢様方よりも先に内部でこんな事が起きるなんて思わなかった。
確かに一部のテニス部員には快く思ってない人も居るなって感じたよ…。
だけどスポーツマンシップに則りそんな馬鹿げた事する人居ないと思ってた。
だって流石に中学生で良い事悪い事の分別が付くお年頃だしさ。
それに何より男子って女の子みたいにネチネチして無いだろうって思ってた。
だから気に入らなくても、精々無視ぐらいはされるだろうなーって覚悟はしてたんだけど……。
まさか女の子以上にすごいとは思ってなかったよ………。
半端無いよ…。
初日のあのボールは流石に拙いと思ったのか、あそこまでの衝撃程のボールがくる事は無いけれど…それでも結構スピードのあるボールは飛んでくるんだよね。
で、流石にレギュラーで無くても名高い氷帝テニス部だからさコントロールが良いから見事に当たるんだなコレが…。
んで、正レギュラーとか準レギュラーとか見てない所で荷物とかを運んでる私にわざとぶつかったり荷物にボールを当てたりするからさ…当然持ってるものはばら撒きですよ
…で、手間が増えて仕事が増えるんだな。
女子よりも先にこんな内部闘争があるなんて…。
確かに前のマネージャーに比べれば可愛さなんて天と地の差だとは思うけど…。
だから見た目で癒せないなら、せめて仕事面においてはきちんとやって少しでも皆の役に立って仕事が出来ればいいと思ってた。
少しでも練習の足しになれば……って。
色々と思う所もあればオモシロく無い部分があるのも解らないでも無い。
気に食わないなら無視するなりすればいいとは思ってたけどさ…人として最低限しちゃいけない事だけはさ………しちゃ駄目だと思う。
何を言っても無駄だと思うし、聞く耳なんてかしてくれないと思う。
でも私は何があってもそう簡単にはヘコタレない。
最初は嫌々であっても引き受けたのは自分だから。
私は一度引き受けた事は、最後まで責任を持ってやり遂げたいと思う。
いつかでいいから私の仕事振りを認めてくれればいいと思ってた。
いつかは認めさせてやるぞ!!って思ってた。
それって甘い考えなのかな?
人って一回嫌悪感を持っちゃうと何をしてもしなくても鼻持ちならないんだよね。
良い事すれば、何偽善者ぶってるのとか。
失敗とかすれば、ほらねやっぱり……みたいな。
だったらそれならそれでいいじゃないの?嫌いなら嫌いでほっとけば?って思うかもしれないけど。
でも、ね…無視されたりとか意地悪されるのは心地悪いけど、折角知り合えたんだからさ。
仲良くまではいかないくても、普通に話せるぐらいの関係は築きたいと思うんだよね。
一期一会って言うじゃない?
だから人の出会いは大切にしたいと思うんだよね。
もしかしたら、すれ違いさえもしなかった人かもしれないんだよ?
会話する事も一度も無いまま卒業するかもしれないんだよ?
折角出会えたんだから……仲良くしたいって思うのは当たり前の事だと思ってた。
どうすれば解り合えるんだろう……。
何だかんだとテニス部に入って2週間が経った。
相変わらず一部のテニス部員の攻撃は続いてて、身体のあっちこっちには軽い痣とか擦り傷とか……。
そんな状態を見て親友の歌織とかは、そんなになってまでマネジャーなんてやる必要あるの?って言われた。
辛いけど……でも辛い事ばっかりじゃなくて。
一部の部員はアレだけども、でも悪い人達ばかりじゃなくて。
新学期も始まってテニス部にも多量の一年生が入ってきて、仕事の量も大変さも増えたけど。
私の仕事振りを認めてくれる人もいるし、最近では手伝ってくれる子も居る。
それにその一部のテニス部員から守るってくれる子も居たりとか。
悪い事ばっかりじゃないんだよね。
でも……一部のテニス部員はそれが余計に気に食わないみたいで。
だけどこんなに酷い事するとは思わなかったよ………それって私の考えがやっぱり甘かったって事なのかな?
いつも通りマネジャーの仕事をしてて、今日は天気もいいから部室の掃除をしようと思ってた。
それを手伝ってくれようとした子が何人かいたけど、別に重い荷物を持つ訳でも無いから断ったんだよね。
レギュラーの部室は普段私も使っているから、小まめに掃除とかしてるから別段大掃除をしようとしない限りは早急を要するもんじゃないから一般部員の部室の掃除をしよう
と思ったの。
この間除いたら結構な事になってたからさ。
そもそもそれが間違いだったのかな?
さーて頑張るぞ!ヨシって意気込んで腕を捲くりあげて、まず換気する為に窓開けて。
最初は箒で掃こうと思って掃いてたんだよねそしたら………開けておいた部室のドアがバンって音と共に閉じたんだよね。
そんなに強い風なんて吹いてないし、一応扉が閉まらないようにドアの下にモノ挟んでたし。
奥の方から掃いてたから閉じたドアを再び開けようと部室の入り口付近まで来たら……。
「どうしたの貴方達?忘れ物でもした?」
そこに居たのは、私が普段慣れ親しんでる部員達じゃなくて……そう、一部私に反感を向けている部員数名だった。
話しかけても無視されると思ったけど話しかけないのもアレかなー?とか思って声をかけてみたけれど。
「…………。」
やっぱり私の質問には答えてくれる様子が無くて。
ちょっとがっくりと肩を落としそうになった。
気まずさが漂う。
何しに来たんだろう……すっごく不安になった。
疑ってかかっちゃいけないと思うけど、この人達は私に敵意しか向けてこないから。
それに散々、私の身体に痣やら傷やらを作ってくれた原因を持つ人達でもあるから……だから怖いって思った。
身動きもしない、話もしない。
何しに来たのかも解らない…取り合えずは部室から一旦出ようと。
「……私そろそろドリンク配らないといけないから、ちょっと行くね?」
ドア周辺に固まってて出ずらいなーとかもしかしたら足とか引っ掛けられるのかなー?とか思ってたけど。
私がドアに手をかけた瞬間凄い勢いで肩を掴まれたと思ったら、そのまま後ろへと引っ張られ転がされた。
「っつぅ。」
何するの!!って言ってやろうと顔を上げて彼らを見ようとしてみれば、私の両腕は地面に押さえつけられて。
えっ!?って思った瞬間には私の上に馬乗りに。
「……何…をする気?」
「ナニをするんですよ、先輩何しても堪えないからさ…。」
「何でそんな事しようとするの。」
「ムカつくからに決まってるでしょう?……どうやって跡部先輩に取り入ったんですか?」
「ハァ?何言ってるの…。」
「だって不思議じゃないですか、可愛くもない美人でもない…そんな貴方が急にテニス部のマネージャーなんて。」
「跡部君は別にマネージャーに可愛さとか美人なんて求めてなんて無いわよ!」
「顔じゃないなら………じゃぁ、やっぱり身体ですか?そんなに先輩の身体は具合がいいんですかね。」
「……貴方達今までいったい跡部君の何を見てきたのよ!!」
見た目だけで人を判断して言いたい放題。
跡部君を侮辱しすぎ!
「だって現に今まで居たマネージャーは可愛かったじゃないですか。」
「それに急に辞めたと思ったら、平凡な人が代わりだなんて…。」
「それだったら考えられるのは色気で落としたとしか考えられないじゃないですか?……僕達にも試させてくださいよ………ね?セ・ン・パ・イ。」
耳元で囁いて気持ち悪い。
馬鹿じゃないの!!私はまだ誰ともそんな事したことなんて無いわよ!
なんとかこの状況を脱出したいけど、流石に女と男じゃ力の差なんて歴然。
その上腕なんて双方一人ずつに押さえつけられて、更にはお腹の上にも乗られてちゃ身動きしたくたって取れない。
誰か気づいてくれるかどうか何て解らないけど…。
大きく息を吸い込んで。
「誰か助けてーーー。」
有りっ丈の声を出した。
バシ。
「っぅ。」
「大声出されちゃ困りますね。まっ、出しても誰も聞こえないでしょうけど。」
叩かれた頬。
今の衝撃で唇の端が切れたみたい……微かに血の味がする。
「おい、ちょっと口押さえてろ。」
抑えられた口。
「んーんー。」
声さえまともに出せない。
このままじゃヤバイ……よ。
ビリビリビリ
「んーんー。」
破かれたTシャツ。
「へぇ〜意外と胸ありますね、肌も白いし。」
つぅ〜と人差し指で首元から胸の谷間にかけて指が動く。
ぞくっと鳥肌が立つ。
嫌ヤメテ!
誰か助けて。
捲し上げられたブラジャー。
ニヤニヤと薄ら笑いを浮かべた馬鹿なテニス部員。
涙で周りがぼやけてくる。
誰か………。
誰か……………助けて。
助けて……跡部君。
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08/03/02.UP