朝の眩しい光・・・。


小鳥の可愛い囀り・・・。


目覚めの一杯、香り良いブラックコーヒー・・・。


いつもの朝と変わり無い日常・・・・な訳あるか!!


俺は、昨晩眠れなかった。
何故か?その理由は簡単だ。


俺の輝かしいファーストキスが奪われたからだ。


その相手は
一言も喋った事の無いクラスメート。


この完璧な俺様が、不慮の事故で一生に一度しかないファーストキスを・・・奪われた。


俺のファーストキスの夢は、好きな人と夕暮れ時夕日に照らされオレンジ色に染まった海辺で・・・と思っていたのにだ!!
そりゃー今の段階では俺のハートを一撃で仕留める奴には、まだ出会っては居ないが・・・。


初恋が幼稚舎の満智子先生って言うのは秘密の話。


その出来事で精神的疲労を味わう事になろうとは・・・。


「ハァァ・・・。」


味は?感触は?気分は?と言われれば・・・。
味はよく解らない。
感触は・・・悪くは無かった。
気分は・・・別に・・・不快感を味わう程では無かった、しいて言えばもういち・・・。


って俺は何を言ってるんだ。

アイツはどうなんだ?
恐らく、初めて・・・?だと思う。
と言うかそう思いたい。
こんな不慮の事故で俺だけが被害を被るのはオカシイ。


それにしてもだ、この氷帝No1人気を誇る俺様相手に、顔色一つ変えないっつうーのはどういう了見だ!!
この俺の、この俺様の大事な大事なファーストキスを奪った罪は重いぞ!!
何としてもこの罪を償わせねば。


俺様のファーストキス・・・。
「ハアァァァ。」






俺の心は清々しくも無く、いつも通りに身支度を整えてベンツへと乗り込む。


気持ちが沈んでいても人間てものは習慣になっている事を無意識にやってしまうんだな・・・。
習慣っていうのはある意味恐ろしいな・・・。


それよりもだ、アイツにも俺と同じ精神的疲労を味わらせてやりたいが・・・。
どうもは、人と少し感覚が違う様だ・・・。


俺とキスを交わしておいて、何の反応も示さないって有りか?
(お前には美的感覚が無いのか?)
現代に置いて接吻って有りか?
(お前はいつの時代の人間だ?)
今時、瞳が見えない程の分厚い眼鏡って有りか?
(変態(忍足)辺りは喜びそうだが。)


取りあえずは、 観察でもするか?
同じクラスとは言えども、俺はの事を知らない。


どうしたもんか?
色々と考えている内に学校に着いてしまった。
気分の晴れないまま、部活へと向かう。


案の定だ!!
案の定部活の最中、変態事忍足はニヤニヤ笑いで俺の様子を伺っている。
まったくもってムカつく奴だ!


何だお前は?そんなに俺様の不幸が面白いのか?
お前は一度、豆腐の角に頭をぶつけて死んだほうがいいぞ?


「チッ。」
まったく面白く無い状態だ!!














今日の朝練は、散々だった。
調子がいつものように上がらず・・・監督に呼び出されて注意をされちまった。
俺様が強いのは解りきってる事で、誰かに負けたって事はこれっぽっちも無いが。
ただ、やっぱりテニスっつうスポーツはメンタル面が大きく出やすい。
メンタル面は、まぁ、どのスポーツに関しても言えることだが・・・。


周りの奴らには解らない様にやっていた。
現に忍足以外は全然気がついていなかった・・・あの変態は昨日の事を知っているし俺が機嫌悪いのも気がついている。
だが、他の奴は騙せてると思ってたが・・・さすが監督。
監督の目だけは誤魔化せなかった。


『どうした跡部・・・今日のお前のプレーには苛立ち・戸惑いが感じられる。いつものお前らしく無い。』
『すみません監督。』
『・・・何か悩んでいるのか?』
『・・・いえ。』
『そうか・・・お前は色々と大変だとは思うが、何か悩みがあるのならいつでも相談しなさい。』
『はい・・・。』
『では、いってよし。』



監督に呼び出され、ダラダラと着替えていたらすでにホームルームを知らせる鐘が鳴り響いた。


「ハァ・・・。」


今更、急いで着替えて行く気分でも無く1限目はサボる事にした。
比較的今日は、天気が良い。
屋上で過ごすには丁度いい気分転換になるかもしれないしな。


俺は着替え終わると校舎内に入り、屋上へと続く階段へと上った。


まさか・・・だ、まさか!
屋上近くの階段を上っていた所で、またもや災難に遭遇するとは思いもしなかった。












お前は一度ならず二度目も俺様の唇を奪ったな・・・ 








何だお前と俺は目に見えない引力の力で引き寄せられてるのか?
それとも誰かの陰謀か?・・・あの変態か?あの変態野郎が悪の根源か!?
しかもなんだ!!お・お前・・・
いてぇーんだよ!!
なんで上から落ちてくるんだよ・・・。


なんで俺も受け止めようとしてやってんだよ・・・?


甘い雰囲気なんてもんじゃねぇーよ。
ガツンだよ!ガツン!!
チュッってもんじゃねぇーよ。
ブチュだよ!ブチュ!!


「っぃて・・・。」
「あっ・・・跡部君・・・、大丈夫?・・・じゃないか。」


そう言うとはスカートのポケットからハンカチを出して俺の口元を優しく押さえた。


「っつう・・。」


どうやら口の端に歯があたった瞬間に切れたみたいだ。
幸い運動神経の良い俺様だけあって、身体の方に怪我は無いみたいだ。
まぁ唯一、口元に傷は負ったが・・・。
の方は・・・怪我は無いみたいだ。
ただ、かなりの衝撃でぶつかった為、唇の色が物凄く血色は良くなってるがな・・・。
反射的に助けたとはいえども、これで怪我されてたら元もこも無い。


それよりもだ、・・・いつまで人の上に乗ってるつもりだ?
相手が俺なのに大した反応しないしな・・・。


お前と居ると自分に自信が無くなってくるぜ?


「んー、跡部君。昨日に引き続き一度ならずも二度までもごめんねぇ〜?」
「・・・・・。」
「しかも本日は、ちょっと怪我させちゃったみたいだし・・・申し訳ない。」


本当に悪いと思ってるのか?
俺の上に乗っかったままで言われても、何の効果も無いぞ?
その分厚い眼鏡に覆われて、相変わらず表情も今一解らない・・・。

















そして忍足・・・やっぱりお前が悪の根源か・・・。



どうしてお前は、そんなにタイミング良く現れるんだ?
お前は俺様のストーカーか何かか!?
変態の称号が正しく貴様に相応しい。


忍足・・・・また面白いもの見ちゃいました!っつうニヤニヤ笑い・・・癪に障るぞ?
やはり貴様は俺様にとって有害だな!!





「ハァァァ・・・・。」
俺は昨日から何回溜息をついたんだ・・・・?














コメント:約2年ぶりぐらいの第2弾となりました(汗。
      おーい!そんなにこれ更新してなかったか!?
      と言うよりもウチのサイトの更新自体が元々、停止状態に近かったからだけどね(笑。
      (UP。07/12/09)